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笠間焼陶芸家インタビュー:酒井芳樹さん

DATE:2019.11.13

NAME:ゴロリン

笠間市手越の「陶の里」。日本の原風景とも言える自然が息づく里山で、数軒佇む工房の一つが酒井さんの構える樹窯だ。

「このあたりはもともと近くのお寺の地所だったんです。3人の子どもに恵まれ、以前やっていた場所が狭くなってしまったので、広いところへ行きたいということになって。この場所がとても気に入ったので、お寺にお願いして受け入れてもらったんです。」


この地で作陶を続けて約40年。酒井さんは自身の作風についてこう語る。「焼き物をやっていると、自分の作風の壁に必ずぶち当たる時がくる。私は好きなものや憧れるものを作るうち、自分の作風を見つけられたように思います。」笠間焼には特に“こうでなければならない”といった決まりのようなものがなく、作陶の自由度が高いそう。備前や信楽で作陶をしていた人が笠間へやってきて窯を構えているケースもあるのだとか。「昔からここは各地から色んな人がやってきて暮らしています。元々いた人がそうしてきたからなのか、穏やかで外から来た人を受け入れてくれる。人も魅力ですね。」

陶芸家は閃きや独創性が必要な仕事だと酒井さんは言う。「長年やってきましたけど、今までが練習という感じ。技術や経験が備わり、本当のものづくりはむしろこれからだと思っています。いいものを作りたいですね。」加えてこんな展望も語ってくれた。「笠間の作家だけでなく農家も一緒になって“この場所にこういう人たちが暮らし、こんなものが作られている”ということをもっと伝えていきたいです。」笠間の里山は静かな場所だが、そこに暮らす人はこんなにも温かい。
2019年から奥さんが民泊「山里のアトリエハウス夢拓香(むたっこう)」をスタートさせた。「子どもたちがみんな独立し、家に空き部屋ができたので。笠間地域おこし発信隊の大坪さんに声をかけていただき、アドバイスをいただきながらはじめてみました。人が来るというのはいいですね。とにかく掃除をするので家も庭もキレイになりますよ(笑)」

外国からのお客人もいるそうで、その際のコミュニケーションについて尋ねてみたところ…「その場の状況や相手の表情、身振り手振りで何を訴えたいのかは大体伝わるものです。言葉の壁は意外とないんですよ。苦労も感じません。今の時代はスマホでも翻訳が簡単にできるので、フル活用してますよ(笑)」そう話す酒井さんは、穏やかでおおらかな人柄。まさに受け入れる心をお持ちなのだと感じる。民泊にやってくる人は、ここで自然と陶芸と人に触れ合い、きっと何かを感じ心に刻んでいくはずだ。
樹窯(いつきがま)
山里のアトリエハウス夢拓香(むたっこう)
笠間市手越778-8
0296-72-4197

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