笠間の暮らし・文化・観光・農業 etc。
みんなで発言する、発信する、
Craft Council(クラフト・カウンシル)。

空想の中で広がる物語をカタチに-美術家:伊藤遠平さん

DATE:2019.11.28

NAME:ゴロリン

私たちが普段何気なく目にしている生き物といったら犬やネコといったペットたちだろうか。人に飼われている彼らは人と同じ場所で暮らす。だが、本来生き物たちには住む環境、世界がある。森に住む鳥や小動物たち。海に住む魚たち。これらに息を吹き込み、独自の世界観で物語と作品を生み出している美術家の伊藤さんにお話を伺った。
「空想の中で自然を舞台とした物語を考え、絵画や立体化して表現しています。生まれた時から森に囲まれた環境で育ったので、色んな生き物たちと出会うことが多くて。ここに住んでいるこんな子たちが、こうだったら面白いだろうな、という想像を膨らませて作品作りをしています。」

伊藤さんの手により描かれた図面上の生き物たちは、伊藤さんの手により立体化される。作品を見ていると、物語がそのまま現実世界で起こっているような不思議な感覚さえ覚える。
「両親が陶芸家で、子どものころからものづくりを見てきたので、粘土で立体を作ったりするのは全く抵抗なかったですね。でも学生時代は周りが自由に油絵をやっているのが新鮮に感じて、絵画を専攻していました。」
絵画に専念していた学生時代だったが、何気なく作った粘土のペンギンとカメレオンが家族に大評判だった。自宅での展覧会で訪れたゲストも自身の作品を喜んでくれたという。
「感覚的に作ったものを喜んでもらえたので、自分の中で作品作りを真剣に考えるきっかけになりました。再度絵画を勉強し直して、図面上にエネルギーを注ぎ込みたくなったんです。」
そこから物語の世界へと自由なイメージが広がっていった。のちに海を舞台にした物語『ミーヤホーヤ』が誕生していく。
「海は命の根源であり、広く自由なイメージを感じたんです。深海のワクワク感もある。あと、実は自然界ってカラフルなので、色使いにもこだわっています。これは新潟の作品展で1カ月滞在して作品を作りながら物語の世界を深めていったんです。」
伊藤さんのイメージする物語にはミーヤホーヤの登場人物たちがどんな世界に住み、どんな性格で、どんな冒険をするのか、すべてに細かい設定がある。だからこそ見る側にとってもおもしろく、愛らしく、興味深く映るのだろう。
現在、常陸国出雲大社で「モクモクフー」という別の物語を展示している。これは境内を散歩しながらイメージが湧いたという。
「毎週週末に出雲大社を訪れ、その場で作品作りをしているのですが、お客さんとのやり取りに刺激を受けたり、イメージが出ることもあるので、滞在制作には今後も興味がありますね。変化していくことが好きなので、1つの物語を作って終わりではなく、常に新しい仲間を迎えたり、キャラクターが別のカタチになるなど、物語が広がっていくことが興味深いですね。」
伊藤アトリエ
茨城県笠間市本戸6097-1
TEL:029-674-4035
E-mail:info@ito-atelier.com

位置情報

マップを拡大してみる

同じカテゴリの記事

陶芸美術館にて開催中です! 

陶芸美術館では、3月21日(日)まで「人間国宝 松井康成と原清展」を開催中です。 2人の人間国宝の、それぞれが到達した美の形をご覧下さい! ※お越しのお客様に安心・安全にご覧いただけるよう、美術館入館時に、入り口にて検温・手指の消毒・マスクの着用・混雑時の入館制限を行い感染対策を行っております。 また、陶芸美術館は1月18日㈪から2月8日㈪まで臨時休館致します。 “Great Masters MATSUI Kosei & HARA Kiyoshi” is on exhibit at Ibaraki Ceramic Art Museum by March 21th. Please enjoy watching the beauty that each arrived on their work pieces. ※Please kindly note Ibaraki Ceramic Art Museum will be closed temporarily from January 18th (Monday)to February 8th (Monday). 陶藝美術館正在舉辦【 松井康成及原清】ニ位人間國寶陶藝作品展,展示至3月21日止。 請觀賞ニ位人間國寶各自承現不同美的陶藝作品! ※1月18日~2月8日暫停展覽

DADAO インスタレーション3度目の正直 

茨城県陶芸美術館、県民ギャラリーにて 駄駄男・小林征児さんの世界を拝見して参りました。 開催延期が続く中で3度目の正直ということで 会期中はお忙しかったと思います。 私が見に行った時は、来場者のほとんどが男性で驚きでした! 大きな作品と思ったら、細かく組み合わされてる。 これ全部作って一つ一つ焼成したんですか!?ってくらい細か~い! 独特の空間が展開されていた今回のインスタレーション・DADAO展 見れば見るほど深いところまで考えてしまいそうな。。。 大人の世界でした。

『堤綾子展』笠間初の女流陶芸家 ~炎とともに半世紀~

炎とともに、土への思い半世紀… 『堤綾子展』に寄せて 近年の笠間は女性陶芸家の活躍が目立つようになりました。 現在NHKでは信楽初の女流陶芸家と言われた神山清子さんがモデルとなったスカーレットが放映中ですが、笠間で初の女流陶芸家となった堤綾子さんをここに紹介したく、きらら館様のご協力を得て、展覧会の運びとなりました。

薪窯焼成実習が始まりました

茨城県立陶芸大学校のよる登り窯を使用した薪窯焼成実習が始まりました。 2011年3/11の大震災に窯の中心部が倒壊。翌年に修復。 それ以降は茨城県立陶芸大学校の実習の一環として年に一度登り窯に火がともります。 寺本守先生が外部講師となり大学校の生徒24名の作品など約1000点を焼成。 火入れ・窯焚き 3/9(火)~3/12(金)※終了予定 窯出し 3/22(月)を予定。

SDGs & ぴっかりぽっけプログラム

楽しい夏休み親子企画! 昨日は第1回目でした。 1.笠間芸術の森公園で昆虫観察 2.なるちゃんのワークショップ 3.間伐丸太切りチャレンジ 4.SDGsバッジ作り と、盛り沢山なプログラムです。 「楽しかった♪」 「また企画して下さい!」 と嬉しいお言葉を頂きました。 皆さんが楽しいと私達も嬉しい! 笠間工芸の丘センタープラザ内では、なるちゃんの作品展「ぴっかりぽっけ展」も同時開催中。 一年後の自分に届く「明日ポストワークショップ」も会場内で開催しています。 ぜひ遊びに来て下さいね!

參觀『DADAO小林征兒先生的作品

前幾天去美術館參觀了『 DADAO小林征兒』先生的作品,不思議的現代創作藝術品。大家覺得呢? 小林征児 KOBAYASHI Seiji 1945年 出生於茨城縣水戸市 1970年 於名古屋市工業試驗研究釉薬 1980年 築窯於笠間市 1982年 第29届日本傳統工藝展作品入選 1983年 第7届日本陶藝展作品入選 1985年 推選為日本工藝會正會員 1990年 榮獲(紐西蘭)國際陶藝展大奬 1996年 榮獲茨城縣藝術祭美術展「波山奬」 2008年 用『駄駄男』名發表【紅塊】群作品 2009年 陶・另項工作――駄駄男展 駄駄男DADAO:創作作品以『駄駄男』發表

笠間焼陶芸家インタビュー:酒井芳樹さん

笠間市手越の「陶の里」。日本の原風景とも言える自然が息づく里山で、数軒佇む工房の一つが酒井さんの構える樹窯だ。 「このあたりはもともと近くのお寺の地所だったんです。3人の子どもに恵まれ、以前やっていた場所が狭くなってしまったので、広いところへ行きたいということになって。この場所がとても気に入ったので、お寺にお願いして受け入れてもらったんです。」 この地で作陶を続けて約40年。酒井さんは自身の作風についてこう語る。「焼き物をやっていると、自分の作風の壁に必ずぶち当たる時がくる。私は好きなものや憧れるものを作るうち、自分の作風を見つけられたように思います。」笠間焼には特に“こうでなければならない”といった決まりのようなものがなく、作陶の自由度が高いそう。備前や信楽で作陶をしていた人が笠間へやってきて窯を構えているケースもあるのだとか。「昔からここは各地から色んな人がやってきて暮らしています。元々いた人がそうしてきたからなのか、穏やかで外から来た人を受け入れてくれる。人も魅力ですね。」

絵付け体験

陶芸作家の牧内 香さんに、笠間工芸の丘で体験できる絵付けのサンプル作りをお願いしました。 タイプの違う2作品。 和の雰囲気のフリーカップと、幻想的なイメージの丸皿です。 作品は体験工房内で見る事が出来ます。 牧内さんは、茨城県内で活躍中の若手陶芸作家です。 直近では、益子のWEB陶器市に出展予定。